ローマ字、約70年ぶりのルール改定
2025年09月28日
日本語ローマ字表記の歴史と変遷
日本語をアルファベットで表す「ローマ字表記」には、長らく二つの方式が併存してきました。それが「訓令式」と「ヘボン式」です。

訓令式は1937年に国が定め、1954年に改定された内閣告示を基盤にしています。五十音をできるだけ規則的にローマ字に置き換える仕組みで、「し」を「si」、「ち」を「ti」と書くように一貫性が重視されます。日本人のローマ字習得教育や言語学の分野では扱いやすい反面、外国人にとっては発音が直感的に伝わりにくいという弱点がありました。
一方のヘボン式は、19世紀(幕末)に来日した宣教師ジェームス・カーティス・ヘボンが辞書を編纂する際に採用した方式で、「し」を「shi」、「ち」を「chi」、「ふ」を「fu」と表記します。こちらは英語話者にとって発音が理解しやすく、パスポートや道路標識、駅名など国際的な表記の場面で広く使われるようになりました。

ジェームス・カーティス・ヘボン(日本最初の和英辞典編纂者)
結果として、日本国内では「教育では訓令式、実生活ではヘボン式」という二重基準が続くことになります。
この二重基準は、具体的な混乱も生みました。たとえば学校で「し」は「si」と習ったのに、パスポートでは「shi」と記載される。大阪を訓令式では「Oosaka」、ヘボン式では「Osaka」と書く。学習者や外国人にとってはどちらが正しいのか分からず、実用性とのズレが長年の課題となっていました。
こうした状況を受け、2025年夏に約70年ぶりのルール改定が行われることになりました。文化審議会がまとめた答申では、これまでの訓令式から大きく方向転換し、実際に広く使われているヘボン式を基本とする方針が示されています。今後は「shi」「chi」「tsu」「fu」「ji」といった表記が公式に認められ、教育の場でも国際的に通用する形が導入される予定です。

ただし、改定といっても全国の地名や人名が一気に書き換えられるわけではなく、例えば群馬県では県庁表記などは訓令式の『Gunma』、日本のパスポート表記ではヘボン式の『Gumma』が明治来の習慣として使用されており表記方法が混在。今後の話し合いによっては歴史的に既に訓令式表記が定着していれば、そのまま残されるケースも想定されます。重要なのは「これから新しく使う場面ではヘボン式に統一する」という方向性です。これにより、学校教育と社会での実用との間にあった溝が徐々に解消されていくでしょう。

今回の改定は、単なる表記の細部の問題ではなく、日本語を世界に伝えるための大きな転換点です。国内で育った規則性重視の訓令式と、国際社会で実際に定着したヘボン式。そのねじれを解消し、国際的な発信力と教育の一貫性を両立させるための試みなのです。70年の時を経て、日本語のローマ字表記は新しい時代に向けて整理され、より多くの人に分かりやすい形で広まっていくことになるでしょう。

70年ぶりに大きな転換を迎えるローマ字表記。訓令式とヘボン式の併存が整理され、ようやく国際社会と足並みをそろえることになります。もちろん、既存の表記や慣習は残る部分もありますが、今後はより一貫した形で使われていくことでしょう。
《タカダ》
日本語をアルファベットで表す「ローマ字表記」には、長らく二つの方式が併存してきました。それが「訓令式」と「ヘボン式」です。

訓令式は1937年に国が定め、1954年に改定された内閣告示を基盤にしています。五十音をできるだけ規則的にローマ字に置き換える仕組みで、「し」を「si」、「ち」を「ti」と書くように一貫性が重視されます。日本人のローマ字習得教育や言語学の分野では扱いやすい反面、外国人にとっては発音が直感的に伝わりにくいという弱点がありました。
一方のヘボン式は、19世紀(幕末)に来日した宣教師ジェームス・カーティス・ヘボンが辞書を編纂する際に採用した方式で、「し」を「shi」、「ち」を「chi」、「ふ」を「fu」と表記します。こちらは英語話者にとって発音が理解しやすく、パスポートや道路標識、駅名など国際的な表記の場面で広く使われるようになりました。

ジェームス・カーティス・ヘボン(日本最初の和英辞典編纂者)
結果として、日本国内では「教育では訓令式、実生活ではヘボン式」という二重基準が続くことになります。
この二重基準は、具体的な混乱も生みました。たとえば学校で「し」は「si」と習ったのに、パスポートでは「shi」と記載される。大阪を訓令式では「Oosaka」、ヘボン式では「Osaka」と書く。学習者や外国人にとってはどちらが正しいのか分からず、実用性とのズレが長年の課題となっていました。
こうした状況を受け、2025年夏に約70年ぶりのルール改定が行われることになりました。文化審議会がまとめた答申では、これまでの訓令式から大きく方向転換し、実際に広く使われているヘボン式を基本とする方針が示されています。今後は「shi」「chi」「tsu」「fu」「ji」といった表記が公式に認められ、教育の場でも国際的に通用する形が導入される予定です。

ただし、改定といっても全国の地名や人名が一気に書き換えられるわけではなく、例えば群馬県では県庁表記などは訓令式の『Gunma』、日本のパスポート表記ではヘボン式の『Gumma』が明治来の習慣として使用されており表記方法が混在。今後の話し合いによっては歴史的に既に訓令式表記が定着していれば、そのまま残されるケースも想定されます。重要なのは「これから新しく使う場面ではヘボン式に統一する」という方向性です。これにより、学校教育と社会での実用との間にあった溝が徐々に解消されていくでしょう。

今回の改定は、単なる表記の細部の問題ではなく、日本語を世界に伝えるための大きな転換点です。国内で育った規則性重視の訓令式と、国際社会で実際に定着したヘボン式。そのねじれを解消し、国際的な発信力と教育の一貫性を両立させるための試みなのです。70年の時を経て、日本語のローマ字表記は新しい時代に向けて整理され、より多くの人に分かりやすい形で広まっていくことになるでしょう。

70年ぶりに大きな転換を迎えるローマ字表記。訓令式とヘボン式の併存が整理され、ようやく国際社会と足並みをそろえることになります。もちろん、既存の表記や慣習は残る部分もありますが、今後はより一貫した形で使われていくことでしょう。
《タカダ》
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