王位戦七番勝負第5局~雲外蒼天、永瀬Ver.~
2025年08月31日
第66期王位戦七番勝負第5局が26、27の両日、 徳島市の「渭水苑(いすいえん)」で行われました。

渭水苑は1980年開業の料亭で、王位戦初開催は1996年の第37期王位戦第5局。
そこから今期まで王位戦の第5局は、ほぼ渭水苑での開催が通例となりました。
もともとは1977年に16億円の費用で建てられた1000坪の個人邸宅を改装して今の結婚式場・料亭として開業されたようです。16億円の個人邸宅とは凄いとしか言いようがありません・・・


料亭の名前の「渭水」には水のように人が集まり、憩い、栄えるという願いが込められており、挙式場、宴会場としても利用されています。
さて、藤井王位に永瀬九段が挑戦している王位戦ですが、第4局では永瀬九段の完勝譜で1勝を返しました。本局も勝利の波に乗って4連勝での逆転王位奪取に繋げられるのか、それとも渭水苑対局では負け無しの藤井王位がそのジンクスを更新するのか。
先手永瀬九段が選んだ戦型は角換わり。藤井王位は後手番角換わりでしばしば採用する右玉で対抗。
永瀬九段はこの藤井王位の右玉を攻略するべく周到な事前準備を行っていたのか、序盤から時間を使うことなく恐ろしい早さで手が進んでいきます。
やはり本局も序盤は永瀬九段のペースで進んでいきます。穴熊に組んで玉の堅さを得ると、桂損上等の跳ねを中央にみせていきます。対して藤井王位は銀をどんどん前に出していきます。
一時の桂損の代わりに相手陣に飛車を成り込むことに成功した永瀬九段は、角を更に足していき藤井陣を潰しにかかります。藤井王位はその応手に140分の時間を費やして持ち駒の角を龍に当てていく。その手を見て、永瀬九段の早指しの手がようやく止まった。
そこからなんと1日目の封じ手時刻まで指されること無く午後はなんとたった2手しか進まない長考合戦となりました。
2日目、永瀬九段の封じ手は4二龍と自然な一手。藤井王位も追随して自然な流れで大駒が飛び交った藤井陣が一旦落ち着く。
今度は永瀬九段の攻め駒が藤井玉の玉頭の桂に向かう。
しかし、その攻めを捌いた後の桂打ちが藤井王位にとって苦しい手であったのか、軽やかに8筋を捌かれると更に永瀬九段の厳しい攻めが続き、91手で藤井王位らしからぬ持ち時間をかなり余しての投了となりました。

勝っても負けても必ず相手より長く頭を下げる藤井七冠ですが・・・うーん・・・
藤井王位は2日制のタイトル戦で初の二連敗を喫し、相性の良かったここ渭水苑での対局も初黒星となりました。
前局、そして本局と藤井王位の調子が今ひとつ、というより永瀬九段の将棋が一段高みに昇った、そんな強い将棋に思えました。誰よりも努力し誰よりも将棋に熱心な永瀬九段の最近の活躍が、藤井七冠の牙城の一角を崩す予兆を感じずにはおれません。
次局も楽しみです。
《タカダ》

渭水苑は1980年開業の料亭で、王位戦初開催は1996年の第37期王位戦第5局。
そこから今期まで王位戦の第5局は、ほぼ渭水苑での開催が通例となりました。
もともとは1977年に16億円の費用で建てられた1000坪の個人邸宅を改装して今の結婚式場・料亭として開業されたようです。16億円の個人邸宅とは凄いとしか言いようがありません・・・


料亭の名前の「渭水」には水のように人が集まり、憩い、栄えるという願いが込められており、挙式場、宴会場としても利用されています。
さて、藤井王位に永瀬九段が挑戦している王位戦ですが、第4局では永瀬九段の完勝譜で1勝を返しました。本局も勝利の波に乗って4連勝での逆転王位奪取に繋げられるのか、それとも渭水苑対局では負け無しの藤井王位がそのジンクスを更新するのか。
先手永瀬九段が選んだ戦型は角換わり。藤井王位は後手番角換わりでしばしば採用する右玉で対抗。
永瀬九段はこの藤井王位の右玉を攻略するべく周到な事前準備を行っていたのか、序盤から時間を使うことなく恐ろしい早さで手が進んでいきます。
やはり本局も序盤は永瀬九段のペースで進んでいきます。穴熊に組んで玉の堅さを得ると、桂損上等の跳ねを中央にみせていきます。対して藤井王位は銀をどんどん前に出していきます。
一時の桂損の代わりに相手陣に飛車を成り込むことに成功した永瀬九段は、角を更に足していき藤井陣を潰しにかかります。藤井王位はその応手に140分の時間を費やして持ち駒の角を龍に当てていく。その手を見て、永瀬九段の早指しの手がようやく止まった。
そこからなんと1日目の封じ手時刻まで指されること無く午後はなんとたった2手しか進まない長考合戦となりました。
2日目、永瀬九段の封じ手は4二龍と自然な一手。藤井王位も追随して自然な流れで大駒が飛び交った藤井陣が一旦落ち着く。
今度は永瀬九段の攻め駒が藤井玉の玉頭の桂に向かう。
しかし、その攻めを捌いた後の桂打ちが藤井王位にとって苦しい手であったのか、軽やかに8筋を捌かれると更に永瀬九段の厳しい攻めが続き、91手で藤井王位らしからぬ持ち時間をかなり余しての投了となりました。

勝っても負けても必ず相手より長く頭を下げる藤井七冠ですが・・・うーん・・・
藤井王位は2日制のタイトル戦で初の二連敗を喫し、相性の良かったここ渭水苑での対局も初黒星となりました。
前局、そして本局と藤井王位の調子が今ひとつ、というより永瀬九段の将棋が一段高みに昇った、そんな強い将棋に思えました。誰よりも努力し誰よりも将棋に熱心な永瀬九段の最近の活躍が、藤井七冠の牙城の一角を崩す予兆を感じずにはおれません。
次局も楽しみです。
《タカダ》











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