本のお話
2022年04月25日
墨龍賦
葉室麟
晩年に建仁寺の『 雲龍図 』を描いた男、海北友松。
浅井家家臣の三男坊として生まれたが、兄の命令で京都の禅寺
東福寺の喝食となり出家。
狩野派の絵を学ぶも絵師としてのデビューは遅く
六十歳を過ぎてから、その活躍が際立つようになる遅咲きの画家である。
近江浅井家に仕えていた実家が滅亡する。
お家再興を願いながらも絵師の道を選択した友松だが
その身に様々な事件が降りかかる。
安国寺、恵瓊との出会い、明智光秀の片腕斎藤利三との友情そして本能寺の変へ
いずれは天に向かって翔ける『 蛟龍 』だと見込んだ明智光秀と
その臣下、斎藤利三の死を通じ
絵を描く行為とは、この世のすべてを絵の中に見出す事だと気付くのである。
武人の魂を持ち続けた桃山時代最後の巨匠と呼ばれる絵師を描く。
《 フジイ 》
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