本のお話
2021年10月17日

一路
浅田次郎
生まれてからこのかたいっぺんも、江戸を離れたことがなかった小野寺一路。
故郷の屋敷が焼け、父が非業の死を遂げたと聞いて、初めて中山道を旅した
そんな一路に、家督を相続し参勤道中御供頭を勤めよとのお達し。
御供頭とは、旅程、行く先々の宿の手配、道中で何かことがあった時の対処
全てに責任を負わなくてはならない。
父親は何一つ息子に伝授していなかった
唯一の救いは、古文書 『 御供頭心得 』である。
この参勤交代之御行列は行軍也と、末尾には『 御供頭心得 』一所懸命。
一所とは、自分の領分。その領分を、一人一人が力を尽くして耕す。
そうした総合力が全体の力となる。
この頃忘れられつつある、それが日本人の美徳だったのでわないか、
『 耕す 』のは農地ばかりではない。
例えば武士にとっては、家督をつつがなく継ぐこと、家を守ることが人生だった。
だから、『 一路 』で描きたかったのは、『 一所懸命 』であった。
《 フジイ 》
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