将棋・名人戦七番勝負第2局
2026年05月03日
2026年4月25日・26日、第84期名人戦七番勝負の第2局が青森県青森市の「ホテル青森」にて行われました。開幕戦を制した藤井聡太名人が連勝して防衛に弾みをつけるのか、それとも挑戦者の糸谷哲郎九段が十八番の力戦に引き込みタイに戻すのか。全国の将棋ファンが注目したこの2日間を詳しく振り返ります。

対局開始の午前9時。先手の藤井名人が飛車先の歩を突くいつもの出だし。
後手の糸谷九段は△4二銀と趣向を見せる。お互いが一手一手探りながら進む中、藤井名人の▲6六角の上がりを見て、構想を外されたと思われる糸谷九段が昼食休憩を挟んでの長考に沈みます。ここで糸谷九段の明確な攻めが見える△4四銀~△5四歩の上がりで、5筋の攻めを厚くする作戦が垣間見えます。そして本格的な攻めに転じます。。なんと「後手番中飛車」です。名人のタイトル戦という最高峰の舞台で、居飛車党のトップ棋士同士が相まみえる中、振り飛車、それも糸谷九段らしい独特の構えを見せたことで、対局場の空気は一気に熱を帯びました。糸谷九段といえば、早見え早指し、そして型にハマらない「力戦」の雄。AIの評価値が主流の現代において、自らの感性を信じるその姿勢が序盤から鮮明に現れた形です。対する藤井名人は、驚きを見せつつも落ち着いて対応。じっくりと腰を落とした居飛車の構えを築き、中盤の激戦に備えます。そして藤井名人が第44手目を封じ、1日目が終了しました。この時点での評価値はほぼ互角。しかし、控室の検討陣からは「糸谷九段の独特な指し回しに、藤井名人がどう対応の精度を維持するか」が2日目の焦点になると囁かれていました。

1日目の見どころは、5筋(中央)を巡る激しい位取りの争いでした。糸谷九段が中飛車の機動力を活かして圧力をかけるのに対し、藤井名人が放った「▲6六角」が素晴らしい一手でした。この角は自陣をケアしつつ、敵陣の隙をうかがう絶好の位置。糸谷九段も得意の「もたれかかり」の戦術で、藤井名人の銀を翻弄しようとする試みがなかなかに面白い。
2日目、封じ手が開封され対局が再開されると、局面は一気に加速します。糸谷九段は積極的な攻めを見せ、藤井陣の突破を図りますが、ここからの藤井名人の指し回しがまさに「精密機械」でした。中盤の入り口、多くの棋士が驚いたのが藤井名人の放った「▲2七角」です。一見すると地味な、自陣に引いた角打ち。しかし、これが糸谷九段の攻めを根底から封じ込める、極めて重厚な一手でした。狙いとしては相手の飛車の動きを制限することと、 将来的な「▲1六角」への転換を見据え、攻守のバランスを完璧に整えること。糸谷九段はこの角の威力を削ぐべく、銀を繰り出して対抗しますが、藤井名人は淀みなく駒を進めていきます。糸谷九段が勝負手を連発して局面を複雑化させようと試みるも、藤井名人はそのすべての変化を読み切っているかのような、揺るぎない指し手を続けました。糸谷九段の粘りを突き放す終盤に入ると、評価値のグラフは緩やかに、しかし確実に藤井名人の方へと傾いていきました。いわゆる「藤井曲線」の出現です。糸谷九段は持ち前の粘り強さで、「△8九飛」から王手筋を狙うなど勝機を見出そうとします。しかし、藤井名人は自玉の安全度を正確に把握。「▲5二歩成」から始まった最後の手順は、まさに詰将棋解答選手権の覇者らしい、無駄のない鮮やかな寄せでした。糸谷九段が放った渾身の勝負手に対し、藤井名人が冷静に「▲5九歩」と底歩を打って受け切った瞬間、勝負の趨勢が決しました。
午後6時53分、89手をもって糸谷九段が投了。藤井名人が第2局を制し、シリーズ成績を2勝0敗としました。
第2局は、糸谷九段の「らしさ」全開の奇襲と、それを真っ向から受け止めて上回った藤井名人の「格の違い」が見事に融合した名局でした。これで藤井名人は防衛まであと2勝。しかし、糸谷九段がこのまま引き下がるとは思えません。第3局は5月7・8日、石川県七尾市の「和倉温泉 日本の宿 のと楽」で行われます。
次局、糸谷九段がどのような「魔法」を見せてくれるのか、そして藤井名人がそれをどう迎え撃つのか。まだまだ名人戦から目が離せません!
《タカダ》

対局開始の午前9時。先手の藤井名人が飛車先の歩を突くいつもの出だし。
後手の糸谷九段は△4二銀と趣向を見せる。お互いが一手一手探りながら進む中、藤井名人の▲6六角の上がりを見て、構想を外されたと思われる糸谷九段が昼食休憩を挟んでの長考に沈みます。ここで糸谷九段の明確な攻めが見える△4四銀~△5四歩の上がりで、5筋の攻めを厚くする作戦が垣間見えます。そして本格的な攻めに転じます。。なんと「後手番中飛車」です。名人のタイトル戦という最高峰の舞台で、居飛車党のトップ棋士同士が相まみえる中、振り飛車、それも糸谷九段らしい独特の構えを見せたことで、対局場の空気は一気に熱を帯びました。糸谷九段といえば、早見え早指し、そして型にハマらない「力戦」の雄。AIの評価値が主流の現代において、自らの感性を信じるその姿勢が序盤から鮮明に現れた形です。対する藤井名人は、驚きを見せつつも落ち着いて対応。じっくりと腰を落とした居飛車の構えを築き、中盤の激戦に備えます。そして藤井名人が第44手目を封じ、1日目が終了しました。この時点での評価値はほぼ互角。しかし、控室の検討陣からは「糸谷九段の独特な指し回しに、藤井名人がどう対応の精度を維持するか」が2日目の焦点になると囁かれていました。

1日目の見どころは、5筋(中央)を巡る激しい位取りの争いでした。糸谷九段が中飛車の機動力を活かして圧力をかけるのに対し、藤井名人が放った「▲6六角」が素晴らしい一手でした。この角は自陣をケアしつつ、敵陣の隙をうかがう絶好の位置。糸谷九段も得意の「もたれかかり」の戦術で、藤井名人の銀を翻弄しようとする試みがなかなかに面白い。
2日目、封じ手が開封され対局が再開されると、局面は一気に加速します。糸谷九段は積極的な攻めを見せ、藤井陣の突破を図りますが、ここからの藤井名人の指し回しがまさに「精密機械」でした。中盤の入り口、多くの棋士が驚いたのが藤井名人の放った「▲2七角」です。一見すると地味な、自陣に引いた角打ち。しかし、これが糸谷九段の攻めを根底から封じ込める、極めて重厚な一手でした。狙いとしては相手の飛車の動きを制限することと、 将来的な「▲1六角」への転換を見据え、攻守のバランスを完璧に整えること。糸谷九段はこの角の威力を削ぐべく、銀を繰り出して対抗しますが、藤井名人は淀みなく駒を進めていきます。糸谷九段が勝負手を連発して局面を複雑化させようと試みるも、藤井名人はそのすべての変化を読み切っているかのような、揺るぎない指し手を続けました。糸谷九段の粘りを突き放す終盤に入ると、評価値のグラフは緩やかに、しかし確実に藤井名人の方へと傾いていきました。いわゆる「藤井曲線」の出現です。糸谷九段は持ち前の粘り強さで、「△8九飛」から王手筋を狙うなど勝機を見出そうとします。しかし、藤井名人は自玉の安全度を正確に把握。「▲5二歩成」から始まった最後の手順は、まさに詰将棋解答選手権の覇者らしい、無駄のない鮮やかな寄せでした。糸谷九段が放った渾身の勝負手に対し、藤井名人が冷静に「▲5九歩」と底歩を打って受け切った瞬間、勝負の趨勢が決しました。
午後6時53分、89手をもって糸谷九段が投了。藤井名人が第2局を制し、シリーズ成績を2勝0敗としました。
第2局は、糸谷九段の「らしさ」全開の奇襲と、それを真っ向から受け止めて上回った藤井名人の「格の違い」が見事に融合した名局でした。これで藤井名人は防衛まであと2勝。しかし、糸谷九段がこのまま引き下がるとは思えません。第3局は5月7・8日、石川県七尾市の「和倉温泉 日本の宿 のと楽」で行われます。
次局、糸谷九段がどのような「魔法」を見せてくれるのか、そして藤井名人がそれをどう迎え撃つのか。まだまだ名人戦から目が離せません!
《タカダ》

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