第72期将棋王座戦五番勝負第2局
2024年09月22日
第72期将棋王座戦五番勝負の第2局が18日に藤井王座の地元である名古屋市で行われました。
前回王座の永瀬拓矢九段を挑戦者に迎えた第1局は会心譜での圧勝で、現伊藤叡王に叡王を奪取された6月の不調を思わせた状態から完全に復調したかの一局でした。
一方永瀬九段もこの王座戦にかける意気込みは相当なもので、それは今回の第2局に如実に現れていました。
この日の対局は藤井王座が制した第1局に続き、両者得意の「角換わり」という戦型に。後手の永瀬九段が誘導する形で、なんと開始30分で76手という異例のハイペースで進みます。しかもお互いの消費時間が藤井王座の20分に対して、永瀬九段はなんとたったの7分・・・!
要するに指し手の分岐は数あれど、あらゆる場面を想定した深い研究を事前に行っている証明でもあります。トップ棋士同士の最新の現代将棋は、研究の遅れがそのまま勝敗に直結するシビアな状況です。日々新手が生まれては対策されるイタチごっこであり、その中で誰も辿り着いていない新しい一手が相手を倒す武器となります。
76手目、永瀬九段の公式戦初の変化の指し手が現れると、それまで快調に飛ばしていた指し手が藤井王座の手番でピタっと止まります。
お互いの研究手でのジャブは終わり、ここからは一発一発が重くなっていきます。
藤井王座の手が動いたのは約1時間後。想定外の一手で先に研究外へ飛ばされた藤井王座は慎重に読みを入れていきます。
対する永瀬九段はまだまだ研究範囲なのか時間を全く使わずに淡々と進めていきます。
10時33分、浮いた銀を狙って8四に桂を放つ。放っておくと銀をタダで取られた上に王手が掛かってしまします。しかし、藤井王座は何か違う手を考えているのか、更に持ち時間を投入します。
更に1時間弱を使って選んだ一手は・・・4六香!
銀取りを手抜いてあくまでも攻め合いに行く強気の姿勢!
勿論、永瀬九段はこの手は本線では想定していないと思われますので、次の一手に大きく時間が使われることになります。
昼食休憩を挟んで考慮時間は1時間14分。休憩時間を入れるとかなり熟考して自身の研究内の銀取りに。
しかし2時間差もあった持ち時間もあっという間に並びそして逆転。
お互いの玉に迫る速度計算では藤井王座が一歩勝っているように思える。
実際、7筋が手薄になるのは承知で5四銀と4筋に守りを増やしたはずなのだが、いざ7四歩と突かれた手に即座に対応できないところを見るに、やはり藤井王座の4六香が効いているのか。
ここからはたぶんですが藤井王座は終局まで読んでいたのではと思える正確な指し手で4筋を精算してから更にギアを上げて左右から永瀬玉を挟撃していき、最後は華麗な2五角打ちで永瀬九段が投了。123手にて藤井王座が勝利し連勝で王座防衛に王手をかけました。
正直、永瀬九段相手にここまで圧勝できるとは・・・。
とにかくギアが上がると相手玉へ迫るスピードが段違いで、相手は読み誤ると一気に劣勢に立たされます。しかも藤井七冠に想定外の手を指されるとそれだけでもう怖い。叡王戦以降は読みの鋭さが増した印象を受けます。
《タカダ》
前回王座の永瀬拓矢九段を挑戦者に迎えた第1局は会心譜での圧勝で、現伊藤叡王に叡王を奪取された6月の不調を思わせた状態から完全に復調したかの一局でした。
一方永瀬九段もこの王座戦にかける意気込みは相当なもので、それは今回の第2局に如実に現れていました。
この日の対局は藤井王座が制した第1局に続き、両者得意の「角換わり」という戦型に。後手の永瀬九段が誘導する形で、なんと開始30分で76手という異例のハイペースで進みます。しかもお互いの消費時間が藤井王座の20分に対して、永瀬九段はなんとたったの7分・・・!
要するに指し手の分岐は数あれど、あらゆる場面を想定した深い研究を事前に行っている証明でもあります。トップ棋士同士の最新の現代将棋は、研究の遅れがそのまま勝敗に直結するシビアな状況です。日々新手が生まれては対策されるイタチごっこであり、その中で誰も辿り着いていない新しい一手が相手を倒す武器となります。
76手目、永瀬九段の公式戦初の変化の指し手が現れると、それまで快調に飛ばしていた指し手が藤井王座の手番でピタっと止まります。
お互いの研究手でのジャブは終わり、ここからは一発一発が重くなっていきます。
藤井王座の手が動いたのは約1時間後。想定外の一手で先に研究外へ飛ばされた藤井王座は慎重に読みを入れていきます。
対する永瀬九段はまだまだ研究範囲なのか時間を全く使わずに淡々と進めていきます。
10時33分、浮いた銀を狙って8四に桂を放つ。放っておくと銀をタダで取られた上に王手が掛かってしまします。しかし、藤井王座は何か違う手を考えているのか、更に持ち時間を投入します。
更に1時間弱を使って選んだ一手は・・・4六香!
銀取りを手抜いてあくまでも攻め合いに行く強気の姿勢!
勿論、永瀬九段はこの手は本線では想定していないと思われますので、次の一手に大きく時間が使われることになります。
昼食休憩を挟んで考慮時間は1時間14分。休憩時間を入れるとかなり熟考して自身の研究内の銀取りに。
しかし2時間差もあった持ち時間もあっという間に並びそして逆転。
お互いの玉に迫る速度計算では藤井王座が一歩勝っているように思える。
実際、7筋が手薄になるのは承知で5四銀と4筋に守りを増やしたはずなのだが、いざ7四歩と突かれた手に即座に対応できないところを見るに、やはり藤井王座の4六香が効いているのか。
ここからはたぶんですが藤井王座は終局まで読んでいたのではと思える正確な指し手で4筋を精算してから更にギアを上げて左右から永瀬玉を挟撃していき、最後は華麗な2五角打ちで永瀬九段が投了。123手にて藤井王座が勝利し連勝で王座防衛に王手をかけました。
正直、永瀬九段相手にここまで圧勝できるとは・・・。
とにかくギアが上がると相手玉へ迫るスピードが段違いで、相手は読み誤ると一気に劣勢に立たされます。しかも藤井七冠に想定外の手を指されるとそれだけでもう怖い。叡王戦以降は読みの鋭さが増した印象を受けます。
《タカダ》
コメント一覧
1. すごいです
いやあ、ホントに将棋を見ているような実況中継ですね。
楽しい記事でした。藤井王座はお若いのにすごい力ですね。どんな大人になるのかとても楽しみです。
TAEMI SUNAKAWA 2024.09.27 15:21:04