
出口のない海
横山秀夫
回天が眼前にあった。
丸みのある弾頭が鈍く光ってる、
長い胴体、前の方が太く後ろ半分はやや細い
大きな魚に小さな魚が、後ろから突っ込んだかのような格好だ
二連のスクリューが尾鰭のごとく眼に映る、「魚雷だ 」
形そのものは魚雷に違いない、だがそれは巨大な棺桶に見えた
「 鉄の棺桶 」
この兵器がこの世に存在した事を伝えたい。
俺たちの死は、人間が兵器の一部になったことの
動かしがたい事実として残る
それでいい、俺はそのために死ぬ。
回天を伝えるために・・・・
「 出口のない海 」つらい作品です。
《 フジイ 》
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