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光のない世界~見えるとか見えないとか。

2018年09月08日

千里中央店

こんにちは。



今週日本列島を猛烈な勢いで襲った台風21号。その影響で大阪府豊中市も停電となり、午後2時過ぎから約半日の間電気が使えなくなりました。陽も傾き始めた6時過ぎくらいから周囲も薄暗くなってきて、7時を過ぎた頃には真っ暗になりました。

おもちゃの懐中電灯を点けて明かりをとります。



暗い部屋の中を移動するのに、最初はその都度、懐中電灯を使ってその方向を照らしていました。しかし暫くしてからは懐中電灯を使わなくても移動が出来るようになりました…ハッキリとは見えないのですが、普段慣れ親しんだ家の中ですから、配置などのイメージが頭の中にあるからでしょう。

そしてふと自分自身に起こるある変化に気づきました。

それは自分の中の視覚以外の聴覚とくに触覚が研ぎ澄まされてくる不思議な感覚でした。



このとき『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(伊藤亜紗著)に書かれていた本の内容を思いだしていました。



目が見えない視覚障がい者と言われる方々が、この世界をどのように見てるのか…について様々な角度から著者の考えが書かれたとても面白い本なのですが、そこにはこんな事が書いてありました。

健常者と言われる目の見えている人間が『いかに目に映る表面的なものを見ているか』ということ。…【見えているようで、見えていない】

逆に、目の見えない方々が、視覚以外の情報を頼りに『脳内でその本質を見ている』ということ。…【見えてないようで、見えている】

見えてる人見えてない人。
それぞれ見ている世界は違う。
どちらが正しいとかいう事じゃない。
それぞれがそれぞれの世界を尊重すればいいだけのこと。
そして、目が見える見えない…そのことも身長が高い低いと同じように単に『ひとつの個性』として、お互いが意識しすぎることなく関係を築くことができれば、きっとそれぞれの世界がより広がりをみせるのではないでしょうか…と。


今回の停電により、ほんの少しではありますが、目の見えない方の見ている世界をリアルに想像することが出来たような気がしてます。




それから。

停電を体験した後に見たACジャパンのテレビコマーシャルのフレーズにハッとさせられました。

草薙剛さんがナレーションを担当されています。

[ある方は、杖で地面をたたく音、あえて強くしているそうです。
ある方は、通ります、と声を出して進むようにしているそうです。
今、歩行者の不注意によって視覚障害者の約2人に1人が接触事故に巻き込まれています。歩きスマホは、危ない。
見えるのに、見ていない人。その危険見えてますか。]




明るい場所であろうと暗い場所であろうと
目が見えようと見えまいと
関係ないんだな
心で見ようとしなければ
それは仮に網膜に像が映し出されていたとしても
たとえ脳内に映像が映し出されていたとしても
何も見てないことに等しいんだな
だってこの世界
ひとりでは生きていけないんだから



そんなことを思いながら、同時に『見る』ということに直接関わるメガネ屋という自分の仕事に、責任を新たにした一週間でした。





《ウエノ》

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