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兵庫県立美術館〜怖い絵展〜

2017年09月18日

南千里店

兵庫県立美術館にて開催されている《怖い絵展》へ、やっと先週行くことが出来ました。




昨日は台風の影響で出かけることを躊躇った方も、本日18日で会期終了のため、今日は人出が多くなっているのではないでしょうか。

《怖い絵展》とは、

ドイツ文学者・中野京子氏が2007年に上梓した『怖い絵』は、「恐怖」をキーワードに西洋美術史に登場する様々な名画の魅力を読み解く好著として大きな反響を呼びました。
同書の第1巻が刊行されてから10周年を記念して開催する本展は、中野氏を特別監修者に迎え、氏がシリーズで取り上げた作品を筆頭に、近世から近代にかけてヨーロッパ各国で描かれた絵画の中から「恐怖」を主題とする油彩画と版画の傑作を選び出し、神話、怪物、異界、現実、風景、歴史といったキーワードに沿って展示します。視覚的に直接怖さが伝わるものから、歴史的背景やシチュエーションを知ることによって初めて怖さが発生するものまで、普段私たちが美術に求める「美」にも匹敵する「恐怖」の魅惑を網羅的に紹介します。


今回はまず、絵画を主題のあるストーリーという付加価値をつけて魅せる手法に、より深く作品のもつ意味を読み解いて巡る事ができました。

歴史や神話、聖書を題材にした、人間の悲喜劇が描かれた絵画に恐怖の色を見出し、悪魔、地獄、怪物などストレートな恐怖を描いた絵画に心的不安を起こさせ、日常的風景や題材の中にあり得ない異世界の住人を登場させ、視るものを惑わせる。そして、現実的な恐怖と死を主題とすることで現実に存在する闇を浮き彫りにさせる。


ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
《オデュッセウスに杯を差し出すキルケー》
画面中央のキルケーが高慢にして不遜な態度を全身で現しているこの絵は、右手に杯を、左手に酒を飲んだ男を動物に変える杖を持ち、相対するオデュッセウスにその杯を勧める・・・。キルケーの足元には酒を飲んだ部下が黒い豚の姿となっている。


ジャン・ラウー
《ソロモンの判決》
ソロモンの元に二人の女性が現れ、訴えます。彼女たちはほぼ同時に子供を産みましたが、一方の子供は死んでしまい、もう一方の子供は助かりました。生きている子供を自分の子と主張する二人の母親を見比べ、ソロモンは隣に立っていた兵士にこう告げました。「その子供を真っ二つに切り裂け!」と。すると、偽物の母親は「あの女にあげるくらいなら裂いて!」と叫んだのに対し、本物の母親は「あの女にあげるから助けて!」と叫んだのです。こうして子供は本物の母親に返されました。
これ、大岡裁きの元ネタですね^^


ヘンリー・フューズリ
《夢魔》
女性の上に座り込む夢魔が、じっと画面越しの観覧者を見ている。
次はお前だと言わんばかりに・・・。


ウィリアム・エッティ
《ふしだらな酔っ払いの乱痴気騒ぎに割り込む破壊の天使と悪魔》
明るい画面の中の群像劇が強い陰影を伴って描かれているこの絵は見た瞬間引き込まれてしまいました。
あと、タイトルが90年代のJPOPの曲名よろしくやたら長いので絵の前で笑ってしまいました・・・^^;


ムンク
《マドンナ》
見ていて胸がざわつく、なんとなく不安にさせるムンクのこの絵は、《叫び》のような直接的な感情は無いが、逆にそれが観覧者に様々な感情を植え付けることになっていると感じました。


展示されていたゴヤやルドンの版画のなかで、特に好きなのがルドンの作品で、
『エドガー・ポーに』から《死の時を告げる鐘を仮面が鳴らす》
そして、《笑う蜘蛛》など、間近に見られて僥倖でした。



ジョージ・スタッブス
《ライオンに怯える馬》
自分的にこの展覧会の作品群の中で1、2を争う程の怖さが画面から伝わってきたと思えたのがこの作品です。
岩陰に潜むライオンに白馬が驚き筋肉を強張らせるその瞬間を捉えた緊張と恐怖が白馬からビシビシと伝わってくるようで、この一瞬の後はどうなるんだろうと未来にまで不安にさせるこの絵の前で、長い時間足を止めておりました。


ポール・ドラローシュ
《レディ・ジェーン・グレイの処刑》
やはり、この絵の前には多くの人が集まっておりました。
カンヴァスサイズも3mあるのでその圧倒的な存在感が恐怖を助長させるようでした。
ヘンリー8世の姪の娘として生まれたジェーン・グレイは、自分の意志とは無関係に政界の権力抗争に巻き込まれ、たった9日間の王位についただけで廃位させられ、わずか17歳で処刑されてしまいました。

描かれているのは、処刑される寸前のシーン。

────どうして。

ジェーンが首置台の手をついた時、彼女はそっと一言、そう呟いたのかもしれません・・・。

血塗られたイングランドの歴史的背景を知ると、より深くこの作品を楽しむことができます。




今回の図録はなんだかオシャレな装丁で背表紙あたりに《レディ・ジェーン・グレイの処刑》の一部がチラ見していて、デザインした人グッジョブ!


さて、10月3日からの大エルミタージュ美術館展で今年最後の展覧会巡りは終了です。
ティツィアーノ、ルーベンス、レンブラントにロベール、クラーナハ。
西洋絵画の王道、絶対的巨匠オールドマスターの傑作を目にするのが今から楽しみです。

《タカダ》

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