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本のお話

2017年06月25日

南千里店

終わらざる夏 浅田次郎

千島列島の先端に位置する占守島 【 シュムシュ島 】

《 知られざる悲劇の島 》

終戦三日後の昭和二十年八月十八日未明
ソ連軍が新たな戦闘を仕掛けてくる。

これが勝つことのありえない戦いで、勝てる力を十分に備えながら、
決して勝ってはならない 戦いであった。

北の果ての国土と国民を守るため、そのような戦闘に生命をかけたのが、
シュムシュ島の将兵であった。

和平のための通訳として、選ばれたのが主人公の片岡直哉。
兵役年限ギリギリの四十五歳、東京外国語学校で英語を学んだ翻訳書の編集者

この直哉の一人息子が起こす、疎開先から東京までの脱走劇、

玉音をきき、疎開児童の先生が『 私の教え子です。よく言って聞かせます 』
『 日本は、戦争に負けました 』

『 ポツダム宣言という降伏のすすめを、受け入れたのです。日本は降参しました。
無条件降伏をしたのですがら、この先どんなひどいことをされるか、
どんなはずかしめを受けるかわかりません。天皇陛下は今、
堪え難いことでも堪え、忍び難いことでもあえて忍んで、
これからの平和な世の中を作って欲しいと仰せになられました。
でも、先生はみなさんに、堪え難きを堪え、忍び難きを忍べとは言いません。
そんな事は、口が裂けたって言えません。どうしてでしょうか。
それはね、皆さんがこれまでずっと、堪え難きを堪えてきたからです。
忍び難きを忍んできたからです。お父さんが戦死なさった人、何人もいますね。
お母さんやご家族が空襲の犠牲になった人、なんにんもいますね。
それにほとんどの家は、焼けてしまいました。そうした不幸はみな、堪え難い事です。
みんなお腹がすいてるわね、そのひもじい苦労も、忍び難い事だったはずです。
だから先生は、皆さんに堪え難きを堪えよとは言いません、忍び難きをまだこれからも
忍べなんて、言うもんですか。もう我慢できない事は我慢しなくてもいい、
嫌ならいやとおっしゃいなさい、自由に物を考え、自由にしゃべり、自由に行動して、
ただしその自由な行動については、各々が責任をもってください。』

生涯記憶に残りそうな作品です。

《フジイ》

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