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若冲の京都 KYOTOの若冲

2016年12月05日

南千里店

京都市美術館にて『若冲の京都 KYOTOの若冲』展が開催されておりましたが、昨日4日(日)に盛況のうちに閉会しました。

今年は若中生誕300年に当たる年で、今年一年で伊藤若冲に関する様々なイベントが催されました。
テレビでも多くの特集番組が放映されたのでご覧になった方も多いと思います。
自分も今回の京都開催の大回顧展にはすぐにでも行きたかったのですが、いろいろと時間が合わず先週の11月30日にやっと念願叶って若冲の動植物たちと対面することが出来ました!

がしかし、紅葉の見頃であるこの時期の京都には覚悟して行かないととんでもない人の群れに遭遇するので注意ですね・・・。とにかく、バス停に長蛇の列なのでバスに乗れない。初っ端から秋の京都の洗礼を受けました。
バス待ち3、40分の後何とか京都市美術館に辿り着いたのですが、そこで待っていたのは入場待機列。

当日チケット販売列に並んで更に入場待機列に並ぶという二重苦をしいられる羽目に・・・。(画像左の列が長く・・・)
結局、入館出来たのは現地到着後1時間経過してからでした。
中も大混雑でした。

若冲人気恐るべし・・・!

とにかく、プライスコレクションと動植綵絵は必ず見たいと思っていたので、まずは入口すぐの六曲一双屏風である『樹花鳥獣図屏風』と『鳥獣花木図屏風』が展示されているコーナーへ・・・。
ここが最大にして最多の観覧者がごった返しておりました。
一番前でしっかり観たかったのでいつ動くともしれない列に並んで(30分程)、やっと『樹花鳥獣図屏風』『鳥獣花木図屏風』が目前に・・・!
この屏風は左隻と右隻に分かれている彩色屏風です。
屏風に薄墨で升目を引いてその升目の中に色を塗り入れていく技法を考案したのが若冲です。


絵を間近で見るとあまりの斬新さとピクセルアートさながらのデジリックな画風、そして他の同時代の画家とは一線を画す前衛的描写と圧倒的な色彩感覚に暫し自失に陥りました。


十数万個の方眼の中に濃淡を交えて2~3色を塗り重ねていってタイル状に仕上げていく・・・気が遠くなるような作業をこなす若冲はどんな人物だったのでしょうか。

江戸中期から末期にかけて京において活躍した絵師である若冲は、とにかく絵を描くことが好きで好きでたまらない人物で、俗世の色事など眼中になく、しまいには仕事すら面倒になって山に篭ってしまうぐらいです。偏執的とも言える動植物の超絶描写は、鋭い観察眼があってのものだと思います。
例えば、若中の主題に欠かすことの出来ない鶏ですが、彼はある日鶏を買ってきてその生態を朝から晩まで写生するでもなくただただ徹底的に観察しました。
そして、一年余が過ぎて鶏の全てを把握した時、若中はおもむろに筆を執るとそこから更に数年を鶏だけの写生に費やしたと言われるほど徹底ぶり^^;

若冲は鶏を通じて生命の躍動を主観的表現へ昇華させている。
「今君たちの観ている動植物は、まさに今私の目を通じて観ている生の姿なのだよ」と訴えかけて来るような生々しさを備えている。


生涯をかけて描き残した若冲の鶏。
主観的に描いた様々な鶏の姿は、今まさにその場に居るような生々しさを感じる。

若冲は元々当時の主流である狩野派の門を叩いたが、狩野派は何処まで行っても狩野派であり、目指す自分の画法を構築できないとして、その後独学で腕を磨いていきます。

隠棲後、号を斗米庵とし1枚米一斗で売って暮らすようになります。
大体今の価格にして1枚約12000~13000円ぐらいでしょうか。(間違っていたらすいません^^;)
絵が描ければ他に興味のない無欲な彼にとって貧困は苦にならず、むしろ悠々自適だった様子だと伝えられています。


晩年、誓願寺に寄進された『果蔬涅槃図(野菜涅槃図)』はお釈迦様と羅漢が皆野菜の姿を借りて描かれている戯画でありますが、元は青物問屋の生まれであった若冲の伊藤家一族の菩提(ぼだい)を弔うために描かれたこの作品は、直に目にするとユーモアとペーソスが同居した不思議な魅力がありました。

左:果蔬涅槃図(野菜涅槃図) 右:仏涅槃図(長谷川等伯作)

好きなことを好きにやる。そのためには継続と努力を惜しまない。
数年間も引きこもって絵を描き続ける様は、現代だったらオタク絵師とか言われるんではないでしょうか・・・^^;
それと同時に「枡目描き」と呼ばれる技法や墨の滲みを利用した「筋目描き」、はては点描風など多彩な技法を編み出し作品へと昇華させていく。

その様はまさに『going my way───』

さて、すっかり若冲を堪能した後は、お決まりのグッズ売り場へ向かいます。
しかし、ここでも大・大・大行列!

売り場の外の列でお会計を待つこと30分・・・。
やっと展覧会図録と色紙2枚をゲットすることが出来ました。


いやー長かったーー;

美術館外では、京都市美術館入場者数ベスト10が張り出されておりました。

皆様、どの展覧会にいったことがありますか?(画像クリックで拡大)
自分はこの中では4,5,8です^^

若冲好きの諸兄姉には、この本などはどうでしょう?
重さ約4.0kgの超重量級の『伊藤若冲大全』です。
200点にも及ぶ作品を完全収録した伊藤若冲画集の決定版です。
この本で若冲チョップされたらひとたまりもありません・・・
価格も超ヘビーです。恐らく私の所持する本の単体価格では一番高額だと思います。


《タカダ》

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