種の壁を越えて。
2015年05月26日
こんにちは。
今日はちょっとばかしスケールの大きいお話しを。
想像を絶する長い生命の歴史の中で、目という器官がいつどのようにして誕生したのか。
遡ること今から5億年ほど前のカンブリア紀と呼ばれる時代…
最初に目を持ったのはクラゲのような動物だったらしい。
目と言ってもヒトの目のような高性能なカメラ眼ではなく、明暗が感じられる程度のものだったそうですが。
どうして海の底深くでクラゲが目を持ち得ることが出来たのか紐解いてみると、これが実に面白いんです。
カンブリア紀、動物と同じように、植物も長い年月をかけて少しずつ進化を遂げていました。
みなさんご存知のとおり、植物は葉緑体に光を取り入れて光合成をして成長しています。
植物プランクトンの「ウズベンモウソウ」も体の中に葉緑体を持つ植物の仲間なのですが、より効率良く光合成を行う為にもつ光センサーを持っています。
その光センサー部分を顕微鏡でみるとクラゲの持つ原始的な目とソックリなカタチをしていることが判明。
そこでウズベンモウソウの光センサー部分のDNAを調べたところ、驚くべき結果が。
動物の目のタンパク質と同じロドプシン遺伝子を植物から発見したのです。
このロドプシン、人間、動物の目に欠かせないもので、光を感じ取るスクリーンである網膜に無数に敷き詰められています。
人間の場合、網膜上にある一億近いロドプシン細胞(桿体、錐体細胞)により明暗、色、カタチ、質感を認識できるといわれています。
このロドプシンというタンパク質は、とても複雑で簡単につくりだすことは出来ないものなのだそうです
動物の目に不可欠なタンパク質が植物から見つかったという事実。
研究者曰く、もともと「ウズベンモウソウ」が持ってる光を感知するロドプシンという遺伝子が、クラゲの中に移行し、突然目を持てるように至った可能性が極めて高い。
クラゲの生殖細胞のなかに、植物が長い年月をかけてつくりだしてきた光センサー遺伝子を取り込んだのだと。
動物の目の元となる遺伝子は植物がつくったものだと結論づけたのです。
『遺伝子は時に、異なる種の間を移動し、それをもらった生き物は突然パワーアップできる。動物の目はそうして生まれた器官の一つ』だと。
その遺伝子が人間の祖先であるクラゲのような動物に、種の壁を超えて移動した結果、僕たち動物はその後の更なる進化を経て今の目を持つことが出来たのだそうです。
そう考えると我々動物の進化に、植物はなくてはならない存在であったのだという事がわかります。
今度は僕たち人間がこの現代社会において植物、他の動物とともに共存していくために何ができるのか。どう過ごしていくのがベストなのか。
僕なりに少し考えてみたいと思います。
今回のお話しは、先日NHKで放送されていた『生命大躍進』第一回~そして“目”はうまれた~での内容からご紹介しました。
第二回~こうして“母子愛”は生まれた
(6月7日午後9時~)
第三回~ついに“知性”が生まれた
(7月5日午後9時~)
放送予定のこちらもよかったらご覧くださいませ。
《ウエノ》
今日はちょっとばかしスケールの大きいお話しを。
想像を絶する長い生命の歴史の中で、目という器官がいつどのようにして誕生したのか。
遡ること今から5億年ほど前のカンブリア紀と呼ばれる時代…
最初に目を持ったのはクラゲのような動物だったらしい。
目と言ってもヒトの目のような高性能なカメラ眼ではなく、明暗が感じられる程度のものだったそうですが。
どうして海の底深くでクラゲが目を持ち得ることが出来たのか紐解いてみると、これが実に面白いんです。
カンブリア紀、動物と同じように、植物も長い年月をかけて少しずつ進化を遂げていました。
みなさんご存知のとおり、植物は葉緑体に光を取り入れて光合成をして成長しています。
植物プランクトンの「ウズベンモウソウ」も体の中に葉緑体を持つ植物の仲間なのですが、より効率良く光合成を行う為にもつ光センサーを持っています。
その光センサー部分を顕微鏡でみるとクラゲの持つ原始的な目とソックリなカタチをしていることが判明。
そこでウズベンモウソウの光センサー部分のDNAを調べたところ、驚くべき結果が。
動物の目のタンパク質と同じロドプシン遺伝子を植物から発見したのです。
このロドプシン、人間、動物の目に欠かせないもので、光を感じ取るスクリーンである網膜に無数に敷き詰められています。
人間の場合、網膜上にある一億近いロドプシン細胞(桿体、錐体細胞)により明暗、色、カタチ、質感を認識できるといわれています。
このロドプシンというタンパク質は、とても複雑で簡単につくりだすことは出来ないものなのだそうです
動物の目に不可欠なタンパク質が植物から見つかったという事実。
研究者曰く、もともと「ウズベンモウソウ」が持ってる光を感知するロドプシンという遺伝子が、クラゲの中に移行し、突然目を持てるように至った可能性が極めて高い。
クラゲの生殖細胞のなかに、植物が長い年月をかけてつくりだしてきた光センサー遺伝子を取り込んだのだと。
動物の目の元となる遺伝子は植物がつくったものだと結論づけたのです。
『遺伝子は時に、異なる種の間を移動し、それをもらった生き物は突然パワーアップできる。動物の目はそうして生まれた器官の一つ』だと。
その遺伝子が人間の祖先であるクラゲのような動物に、種の壁を超えて移動した結果、僕たち動物はその後の更なる進化を経て今の目を持つことが出来たのだそうです。
そう考えると我々動物の進化に、植物はなくてはならない存在であったのだという事がわかります。
今度は僕たち人間がこの現代社会において植物、他の動物とともに共存していくために何ができるのか。どう過ごしていくのがベストなのか。
僕なりに少し考えてみたいと思います。
今回のお話しは、先日NHKで放送されていた『生命大躍進』第一回~そして“目”はうまれた~での内容からご紹介しました。
第二回~こうして“母子愛”は生まれた
(6月7日午後9時~)
第三回~ついに“知性”が生まれた
(7月5日午後9時~)
放送予定のこちらもよかったらご覧くださいませ。
《ウエノ》
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