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ベルギー奇想の系譜展〜兵庫県立美術館

2017年06月12日

南千里店

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一般の人がベルギーと聞くと、想像するものはビールやチョコレートなどの有名なものですが、自分は特にベルギーにおいては絵画が真っ先に浮かびます。

今回は、そんなベルギー絵画のちょっと怪しい(妖しい?)作品が集められた絵画展に足を運ぶことにしました。


兵庫県立美術館へ
遠くから目立つ、美術館屋上の『美かえる』が出迎えてくれます^^



いざ、会場へ


階段で3階まで行くと、奇想の住人たちがお出迎え?^^


今絵画展ではその中の、ボスやブリューゲル(父)、マグリット、ヤン・ファブールと受け継がれていった奇想部分を焦点に《ベルギー奇想の系譜展》と題された、激動のベルギーの中世末期の15世紀から現代に至るまでの約500年、ベルギーのフランドル地方(フランダースの犬でおなじみですね^^)周辺で生み出された奇想の表現の流れを追うことが出来ます。

古代よりベルギーはヨーロッパの十字路に位置していたため、フランス、オランダ、ドイツそしてイギリスとより多くの列強国に囲まれる中にあって、交易でもたらされる様々な文化や芸術を吸収していき、ヨーロッパで産業革命の先駆けとなり、現在はEU本部を首都ブリュッセルに置き、通信・金融網と共に発展しました。
15世紀に初期フランドル絵画の祖といわれるヤン・ファン・エイクによって油彩画が確立され、その後ヒエロニムス・ボス、ピーテル・ブリューゲル、ピーテル・パウル・ルーベンスらバロック期まで続いていきます。



章ごとに別れた展示になっており、第一章は15-17世紀のフランドル美術が展示されておりました。
ボスの世界、ブリューゲルの世界、ルーベンスの世界
奇才ヒエロニムス・ボスは人間の根源的な罪を見つめ、欲望にまみれた人々を待ち受ける「地獄」を鮮烈なイメージで描きました。死後を表す夢の世界や、あるいは聖人を攻撃する悪魔たちの世界など、類稀なる想像力が紡ぐその奇想のイメージは大変な人気を博します。その後に続くボス派の作家たちの中でも、とりわけ「第二のボス」としてその豊かな創意を讃えられたのはピーテル・ブリューゲル(父)です。ボス風の怪物や悪魔の世界は、ブリューゲルの鋭い観察眼によって親しみを増し、息子や一族に受け継がれていきました。また、バロック美術最大の巨匠ルーベンスはリアリティと深い感情表現を追求し、悪魔たちでさえ理想的な身体を持って、恐れや怒りといった感情を激しく表出した姿で描かれました。




まずはいきなり主役の登場です^^
ヒエロニムス・ボス工房作の《トゥヌグダルスの幻視》です。
トゥヌグダルスが幻視した死後の世界の拷問の様子で、この作品の中には《高慢》《物欲》《嫉妬》《憤怒》《色欲》《貧食》《怠惰》の七つの大罪が描かれております。
ヘンテコな生き物があちらこちらに・・・^^;




ピーデル・ブリューゲル・七つの大罪(版画)
七つの大罪をテーマに様々な奇想天外な生物を画面一杯に配置して、あちらこちらで罪に身を窶す人間の姿が描き出されております。

現在、東京でブリューゲルの『バベルの塔』展が開催されております。
7月には大阪でも開催されるので楽しみです。


第二章・19世紀のベルギー象徴派・表現主義
ロップスの世界、ベルギー象徴派、アンソールの世界
1830年に国家として独立を果たしたベルギーは産業革命の波に乗り、イギリスの工業技術をいち早く取り入れて国力を充実させました。こうした社会的状況下、1880年代の後半には科学の世紀に背を向けて想像力と夢の世界へ沈滞しようとする象徴主義の傾向が現れます。ボードレールに敬愛された画家フェリシアン・ロップスは、死神や魔性のものたちを蠱惑的に表現しました。彼は死を主題としつつも、魂の解放と上昇をも描こうとしたのです。一方で、フェルナン・クノップフやレオン・スピリアールトは、暗示的な風景や自画像を描き自身の深奥に沈み込んでいきました。またジェームズ・アンソールは、極めて個人的な世界を題材としながらも、骸骨や仮面といった伝統的な表象を用いて、鮮やかな色彩の中に自身が抱えていた孤独や怯えを噴出させました。




フェリシアン・ロップス《娼婦政治家》
ロップスは反教義的な考えを強め、ブルジョア的モラルすべてから逃避し続けた画家であり、絵の内容からもその様子が伺えます。


ジェームス・アンソール《キリストの誘惑》
仮面と骸骨の画家と呼ばれることの多いアンソールは表現主義絵画の先駆者であり、近代ベルギー美術を代表する画家であります。


ウィリアム・ドグーヴ・ド・ヌンク《運河》
運河に佇む荒廃した建物と等間隔の立ち並ぶ葉のない木々。静けさだけが支配するこの画面には、人の内面の不安を映し出すようです。後のマグリット、シュルレアリスムに大きな影響を与える画家です。



第三章・20世紀のシュルレアリスムから現代まで
デルヴォーとマグリット、ヤン・ファブールと現代のベルギー美術
ボスから始まった芸術における奇想の表現は時代とともに形を変え、20世紀に入ると絵画や版画のみならず、彫刻、音、インスタレーションへとさまざまなジャンルに取り入れられました。両大戦間にヨーロッパを席巻したシュルレアリスム運動はベルギーでも活発な動きを見せました。ルネ・マグリットやポール・ヌジェ、ポール・デルヴォーは各々の表現を追求し、日常の風景に忍び込む奇想の世界を表しています。詩人から芸術家に転身したマルセル・ブロータールスは、言葉や芸術をとりまく社会的・経済的な事象に鋭く切り込み、後続の芸術家たちに多大な影響を与えました。国際的なレベルでの活動とベルギー人としてのアイデンティティの両立を目指す現代の芸術家たちの中には、ヤン・ファーブルのように過去の歴史を参照しながらまったく新たな表現を開拓する優れた芸術家たちがいます。




ポール・デルヴォー《海が近い》
シュルレアリスムというより独自の幻想絵画というカテゴリーがふさわしい程に、夢幻の情景を描き出す20世紀の偉大な画家です。


ルネ・マグリット《大家族》
私の大好きな画家です。回顧展にも何度も足を運んだ程のめり込んでおります^^
この《大家族》はマグリットの代表的作品であり、国内(宇都宮美術館)で所蔵されております。
言わずと知れたマグリット=青空と雲をハトの形に抜き取った、美術の教科書にも載る有名な作品です。
この他にも《レディ・メイドの花束》や、《観光案内人》《夢》など国内所蔵の作品が展示されておりました。今回は国内所蔵分なのでマグリットの作品では比較的目にすることの多い作品群でした。


ヤン・ファーブル《フランダースの戦士》または《絶望の戦士》
玉虫の死骸が生物を形作り、その生物が鎧を纏う。
生物の死に対して一見、嫌悪を抱かせるような感覚に陥るのですが、ライトの下で緑色に光るそれは、死してなお生まれる自然の美しさを再認識させるメタモルフォーゼのイメージを与えられます。
彼の曾祖父は「昆虫記」で有名なジャン・アンリ・ファーブルなんですって。


ベルギー500年の奇想の系譜、その「本物」と感じさせる独特の表現方法は中世より現代に至るまで時代の変遷とともにカプリッチョ(奇想画)、象徴主義、シュルレアリスムの中にとどまり、今日のアーティストたちにも脈々と受け継がれているのを再認識させられた展覧会でした。


最後に、図録とポストカードを購入^^

そして、私は最低でも後2回は兵庫県立美術館に行くことでしょう。


《タカダ》

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